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琵琶法師の毛づくろい
by miminashibiwa

人間の條件

連日NHKBSプレミアムで、映画「人間の條件」をやっているので、観るともなく観ている。
今日は第3部を観たが、記憶が曖昧で相変わらずはっきりとは覚えていない。
辛い映画だが、懐かしい役者さんが沢山出て来るのを観ているだけでも楽しい。

これを全篇映画館で観たのは、池袋「文芸坐」のオールナイトでだった。二十代中頃?
土曜の夜、満席の熱気の中で観た記憶がある。誰と一緒だったのだろうか?
高校の同級生何人かで観たように思うのだが、、、。
始発の出る頃終わって、疲れて目白のアパートに帰り、きっと夕方まで寝ていただろう。
当時この映画は、観なければならない映画だった。そういう映画がその頃はあった。

土曜深夜の文芸坐のオールナイトは、安くてありがたく、随分観た。
しかし大抵満員で狭くて、汗ばんで、尻が痛くて、それと私は徹夜が苦手だった。
普段も立ち見で随分観た。立つのが苦痛じゃなかったとは言わないが、我慢が出来た。
四十代の初めまで、映画がなければ生きられないと真面目に思っていた。

学生のときは、下級生だった文芸坐の娘に時々招待券をもらって観ていた。
よく招待券をもらう奴が羨ましかったものだった。
アカデミーの会員だった頃は、ドップリ入り浸っていた。千本は優に観た。
隣りの目白駅に住んでいたので、自転車でひとっ走りだったし、バイトの帰りも駆けつけた。
日替わりの特集がよくあり、今の季節だと反戦物の作品がかかるはずだ。
文芸坐と文芸地下があり、いくら観ても観終わることがなかった。
だから文芸坐が無くなったときは、本当に困った。名画座が次々閉じていた時期だった。

舞台の仕事で地方にいる時間が長くなるにつれ、映画を見る回数が減って行った。
琵琶の稽古をしなければならなくなったことも関係がありそうだ。
文芸坐の経営するバー「ビー」でアルバイトもした。これも観る時間をへらした。
映画がなければ死んじまうとまで思っていたあいつは、どこへ行ったしまったのか。

いま新文芸坐が同じ場所で興行しているのだが、なぜか一度も足を踏み入れたことがない。

「人間の條件」あと何日続くのか。毎日観られるだろうか。凄い物を作ったものだ。
by miminashibiwa | 2011-08-18 02:02 | 耳ざわり通信