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琵琶法師の毛づくろい
by miminashibiwa

さいげつふたい

2016年1月25日(月)
今日のTVで、多分同じ年と思われる人の口から歳月不待という言葉を聞いた。知らなかった。時は、人の都合で待ってはくれない。誰だって人生をやり直せるものならやり直したいだろうが、そうはいかないんだとその人は言う。浅はかな私は、一瞬、やり直す人生がどんなものかと考えた。自分はどの時に戻って、何処に行きたいのだろうか、何処へ行けたのだろうかと。すぐ浮かんだのが、レストランや喫茶店でアルバイトをしている景色だった。あそこから何処へ行くのだろう。調理場に入りコックにでもなれというのか?そういえば、学生時代しばらく目白のアパートで一緒に暮らしたタチバナ君は、なぜあのまま料理人にならんのだとよく言っていたっけ。とても面白い仕事だと思ったが、今自分が料理人になっているとも思えない。では、どの時代のどのガールフレンドとどうなっていたら、今どうなのだと馬鹿な想像をしてみたが、これもやはり誰とどうなるともどうなりたいとも、とくに何も思い浮かばないのであった。いやいや、役者として何処でどうなっていたら、どうなのだ。どの仕事、どの芝居、どの振る舞いをやり直せたらどうなのだと考えるが、もう少し若いときは悩んだり悔やんだり恨んだり頼んだり願ったり謝ったり妬んだりなどなどしたが、今はそんなエネルギーは無くなってきた。こう言ってしまうと、ちょっと嘘があるか。身体的には、時がもう待ってくれないのもよく分かる。今のエネルギーで出来ることを、あまり怠けず誠実にやる意外なさそうだ。しかし、やり直す人生が思い浮かばない自分も、どうしたものかと思ってしまう。欲望の量が減っているようだ。これは、いけない。方丈記の鴨長明だって無常なんて言いながら、60にして恨みつらみ、居直り、開き直り、ふて腐れ、厭味を大っぴらに書いているではないか。
by miminashibiwa | 2016-01-26 02:13 | 耳ざわり通信