琵琶法師の毛づくろい


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NAGIさん

11月11日は、ナギさんの命日である。
亡くなる前日、芝居の千秋楽で新潟県のある街にいた。
ナギさんはその日も不調で、朝から街を観光するバスから降りる事もなくじっとしていた。
観光などせず真っ直ぐ劇場に行ってくれと頼んだが、大人の事情でバスに乗り込んだ。
この日は昼公演だったから、2時頃の開演だっただろうか。
畳の楽屋では準備出来ないという事で、だだっ広い部屋にナギさんは入った。

ナギさんはジンと一緒だったので、ジンとの芝居を変えたいところがあり楽屋に行った。
疲れは明白だった。何も話さない。よけいなエネルギーは使えない様子。

本番はそでで出を待つのだが、この日はずいぶん早く来て椅子に座った。
普段なら横に座り軽口を叩くのだが、この日は声もかけられない雰囲気で、後ろの列に座り見守っていた。若い者がいろいろめんどうを見ているが、反応するのもおっくうな様子だった。

ところが千秋楽のせいか、一幕では元気な頃のように舞台で飛び跳ねている。
思わず眼を疑った。歩くのも大変だろうに、なにをやっているんだと。
胸が熱くなるようだった。そこまでやるか。死んじゃうぞ。

二幕では幕前で怒鳴り合いの喧嘩をするのだが、ナギさんが下そでから出て来た時私の身体がグラリと揺れた。一幕で昨日の酒は抜けているはずだが?それに今日のナギさんは大きく見える。なんなんだ、こんな事は初めてだ。ナギさんから圧力がかかる。

舞台も跳ね全員バスで東京まで帰るのだが、私は長岡に行きたい飲み屋があって別行動することにした。楽屋にナギさんを訪ねその旨を伝え、「また東京に帰ったら連絡するから」と言うと、「テツヤも元気で暮らせよ」との返事。思わず? そんな事、言われた事もない。
虫が知らせたのだろうかと、今になっては思う。
稽古場でもこいつはどうしようもないと言われていたし、その通りだった。

こまつ座でたっぷり旅をして、長い時間を過ごさせてもらった。
普段も時々、お茶やお酒を飲みながら話す事はあったが、一緒の舞台に立つ事はなかった。
また一緒に旅がしたいと話していたがその機会はずっとなく、やっと訪れたこの旅が最後の旅になってしまった。回数は少なかったが、二年続いた。
しかし最後の最後までナギさんと旅が出来た事に感謝している。この芝居に推薦してくれたのもナギさんだった。まったくいい弟子ではなかったけれど、弟子は師匠が大好きだった。

私は長岡に一泊して酒を飲み、翌日各駅停車で東京まで帰った。
昼頃には病院に運ばれていたらしい。千秋楽の翌日、人生の千秋楽を迎えるとは。

留守電に、大河ドラマにナギさんが亡くなったとテロップが入ったが本当かと入っていた。
その夜は連絡がつかず、翌日プロデューサーやマネージャーと伺い、お別れさせてもらった。

書いておかないと、だんだんいろんな事を忘れていく。もうだいぶ怪しいのだ。
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by miminashibiwa | 2012-11-13 02:04 | 耳ざわり通信